まずは読めるようになろう!ドイツ語基本の読み方②読み方のルール
さて、前回の記事ではA〜Z、そしてウムラウト(ü,ä,ö)とエスツェット(ß)の基本的な読み方を紹介しましたが、今回の記事では実際にドイツ語の読み方のルールを紹介します。
▼アルファベット編はこちら。
なお、今回の記事を読むと、意味はわからずとも実際のボドゲのタイトルをばっちり読めるようになりますよ!
基本はローマ字で読む
ドイツ語は、基本的にローマ字読みです。
例えば、英語では Nameは「ネーム」と読みますが、同じ綴りで書くドイツ語では「ナーメ」と読みます。
アクセントのある母音は、直後に子音が一つのときは長く、二つのときは短く発音する
まず前提として、ドイツ語は基本的に一番最初に出てきた母音にアクセントがつきます。(そうじゃないこともありますがここでは割愛します)
その際、その母音の直後に子音が一つのときは長く、二つのときは短く発音します。
たとえば、さきほど出てきた「Name」。アクセントがつく母音は最初に出てきた「a」ですね。
その後ろを見ると、直後の子音はmひとつのみ。よって、aは伸ばし、「ナーメ」と読みます。
一方で、カードゲームの「ニムト」です。ドイツ語だと「nimmt!」と書き、「取る(英語で言うとtakeにあたります)」の3人称単数です。
これはアクセントがくるiの後ろに子音のmが二つ。よって、ニームトではなくニムトという読み方になります。
英語とは異なる読み方をするアルファベットがある
J<ヨット>
これはジャ行ではなく、ヤ行になります。
Japanはジャパンではなくヤーパンとなります。
ボドゲの「酔いどれ猫のブルース」の原題は「Katzenjammer Blues」と言いますが、「jammer」は「ヤマー」という発音になります。
ちなみにドイツ語では二日酔いの表現でよく猫という単語が使われるのですが、Katzenjammerとは二日酔いを意味します。
パッケージは二日酔いという意味でのKatzenjammerと、猫を意味するKatzeをかけた見た目になっているんですね。(Katzeの読み方は後ほど紹介します)
R<エア>
後ろに母音がきたときには英語と同じくラ行なのですが、単独で使われるときには「ア」という音になります。(ルと書かれている参考書もありますが、個人的にはネイティブの発音に近いのは「ア」だと思っています。)
なのでカードを意味する「Karte」という単語は、「カルテ」というよりも「カアテ」というほうが正しいと個人的には感じています。
また発音も、英語のRのように舌を奥に引き込む感じにはせず、どちらかというと喉を使います。
イメージとしては、うがいをするときに少ない水で喉を鳴らすような感じでしょうか。
▼実際にRの発音を聞いてみましょう(1分57秒〜見てください)
Deutsch lernen: Aussprache von R im Deutschen/German pronunciation of R (learn German)
ただ、難しい場合は普通に日本語と同じラ行で話していただいてOKです。
S<エス>
ドイツ語の場合、Sのうしろに母音がつくと全て「ザ行」になります。
例えば「キャプテン・リノ」は原題では「Super Rhino」というのですが、ここの「Super」の部分は「スーパー」ではなく「ズーパー」という発音になります。
ただ、Sのうしろに母音がこない場合や、Sがふたつ並んだ場合には、「サ行」になります。
例えば「バルバロッサ」はBarbarossaと書きますが、最後が「ssa」となっています。
よって、先ほど学んだ<Rは単独で使うと「ア」という発音になる>というルールも適用しつつ読むと、「バアバロッサ」が正しい発音になると言えます。
V<ファオ>
こちらは基本的に「ファ行」となります。(外来語由来などの場合はヴァ行になることもあります)
よくボドゲのタイトルに、「from」や「of」を意味する「von」という単語が出てくるかと思うのですが、これはヴォンではなく「フォン」と読みます。
W<ヴェー>
こちらが、いわゆるヴァ行になります。Vとごっちゃになりがちなので気をつけましょう。
よくボドゲのタイトルやチップに「Wald」という「森」を意味する単語が出てくるのですが、これは「ヴァルトゥ」という読み方になります。
※なお、最後のDは「ド」じゃないの?ということに関してはまたあとで説明します。
Z<ツェット>
ザ行をSにとられてしまった(笑)Zですが、こちらはツァ行になります。
メモ用紙のことを「Zettel」と言うのですが、これは「ツェッテル」という読み方になります。
eiとeuとieの「コンビネーション読み」
ドイツ語では、ある条件が揃うと特殊な読み方をする場合があります。
これを筆者は勝手に「コンビネーション読み」と呼んでいます。
コンビネーション読みその1「ei」
「ei」と書くと、「アイ」という読み方になります。
例えば氷を意味する「Eis」は「アイス」と読みます。
なお、eiの前に子音が来る場合は、その子音も巻き込んで発音するので、
おばけのコマがかわいい「Geister」は「ガイスター」という読み方になります。
コンビネーション読みその2「eu」と「äu」
「eu」もしくは「äu」と書くと、「オイ」という読み方になります。見た目からはまったく「オイ」感が感じられないので、これに関しては結構みなさん読み方を覚えるのに苦労しています。
例えばヨーロッパはドイツ語で「Europa」と書きますが、これは「オイローパ」という発音になります。
なお、eu、äuの前に子音がくる場合はその子音も巻き込んで発音するので、例えば「ハリウッド」のドイツ語原題「Fabrik der Träume」は「ファブリーク デア トロイメ」という読み方になります。(Fabrikは工場・製作所、 Träumeは「夢」の複数形。直訳すると 夢の製作所という意味になります。)
コンビネーション読みその3「ie」
「ie」と書くと「イー」と読みます。
身近な例でいうと、日常でよく「エネルギー」という単語をよく耳にしますよね。英語だとエナジーなのになぜ…?と思いきや、実は「Energie(エネアギー)」というドイツ語です。ここの語末にieが使われていますね。
ボードゲームでいうと、例えば有名な「カタン」。ドイツ語では「Die Siedler von Catan」というのですが、ここまで読んでいる方はもうだいたい読めるでしょうか。
読み方は「ディー ズィードゥラー フォン カタン」です。
Siedlerというのは開拓者、移住者という意味です。(そのまえのdieはディーと読み、英語のtheにあたる複数形の定冠詞ですがここでは割愛)
よって原題は「カタンの開拓者たち」といったところで、日本語とほぼ変化なしですね。
コンビネーション読みその4「au」
これは前述の3つほどは激しい変化はありませんが、「アオ」という発音になります。(まあ上3つに比べると、実際にアウと発音してもそんなに影響はないのですが…)
単語の最初・最後で特別な読み方をするもの
単語の最初に来たり、最後に来たりするとき限定で、特別な読み方をするものがあります。
StとSp
stとspで始まる場合は、それぞれ「s」の部分が「シュ」という音になります。
例えばボドゲ愛好者の皆様の多くが知っているであろう「シュピール」という単語は「Spiel」という綴りになります。(地味にコンビネーション読みの「ie(イー)」も使われています!)
逆に「ガイスター」こと「Geister」は「ガイシュター」ではなく「ガイスター」になります。
ただ、「2つの単語で構成されている単語」であれば、stやspが単語の途中に入っていてもこのルールが適用されます。
例えば、 ドイツ語でボードゲームを意味するBrettspielは「盤」を意味するBrettと「ゲーム」を意味するSpielという単語が合わせて作られた単語なので、読み方は「ブレットシュピール」となります。
語末のer
erが語末に来た場合は、「アー」と読みます。
これは、英語で慣れているかもしれませんね。
なので何回も出てきましたが、「Geister」は「ガイステア」ではなく「ガイスター」となります。
語末のigは「イヒ」!
語末にigがきた場合には、イヒという音になります。
例えばボドゲでよく出てくる単語:「王様」を意味する「König」は「ケーニヒ」という発音になります。
※Öの読み方については冒頭で紹介した前回の記事をご覧ください。
語末のd、g、bは濁音にならない
上の3つが語末にきた場合、dは「トゥ」、gは「ク」、b「プ」という音になります。
1998年のドイツ年間ゲーム大賞受賞作の「Elfenland」は、ドイツ語読みをすると「エルフェンラントゥ」になります。
ch-は基本的にハ行になる
ドイツ語では、cha,chi,chu,che,choで始まる単語はあまりありません。(chaは外来語ならけっこうありますが。)
その代わり、ch単独で使うことがよくあります。そのとき読み方は「ハ行」になります。
ちょっと複雑な割によく出てくるので、がんばって覚えましょう!
基本的な読み方は「ヒ」
例えば「アルケミスト」こと「Alchemist」。意味は中世の化学者、錬金術師です。
この場合「アル+ヒ+エミスト」で「アルヒェミスト」と読みます。
もっと簡単な例で行くと、中国を意味するChina。チャイナと読みそうになりますが、これは「ヒナ」と読みます。
直前にa,o,uがきたら、読み方がヒ以外になる
a+ch → ハ
例: Bach バッハ (小川という意味)
i+ch → ヒ
例:Richter リヒター (騎士という意味)
これはiなのでいつも通りヒ。
u+ch → フ
例:Buch ブーフ (本という意味)
e+ch → ヒ
例:Recht レヒトゥ (右という意味)
ハ、ヒ、フ…ときたから へ かと思いきやこれもeなのでいつも通りヒ です。
o+ch → ホ
例: Tochter トホター (娘という意味)
chのうしろにsがきたら「クス」と読む
まだまだあります。これはごく少数の単語のみ適用されるのですが、chsという並びになったら「クス」と読み、ハ行要素がゼロになります。
例えばドイツ語で「6」は「sechs」と書きますが、これは「ゼクス」と読みます。
直前に母音が来ていても、後ろにsが来ていたら必ずこのルールが優先されます。
tchとsch
tchという並びになるとチュ、schとなるとシュという読み方になります。
さきほどSpやStから始まるときはSがシュという音になる、という話をしましたが、schは常に、どこに入っていてもシュと読みます。英語で言うshですね。
おばけ屋敷の宝石ハンターというゲームの原題は「Geister, Geister, Schatzsuchmeister」ですが、これを読んでみると「ガイスター
、ガイスター、シャッツズーフマイスター」となります。
tzはツと読む
KatzenjammerやSchatzsuchmeisterでもでてきた「tz」。
これはツと読みます。(直前が母音の場合はッツとなります。)
うしろにeがくる単語も多いですが、その場合は「(ッ)ツェ」という発音になります。
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以上で、ドイツ語のだいたいの読み方を網羅しました。
だいぶ長かったですが、これをすべて覚えればほぼだいたいのドイツ語が読めるようになりますよ!
読み方を忘れてしまったときの備忘録的な役割にもなりますので、ぜひご活用ください。